……もう1週間も会ってない



っこれは重大だ!











だって、






だって、









だってラクスは私の恋人なんだよ!?
















天然のお姫様にようやっと想いが伝わって

やっと恋人らしくなれたのに…








何で会えないんだぁっ!!!!!











そりゃね、テレビじゃ毎日見れるよ



毎日ラクスの顔は見ているけどさ


ブラウン管越しじゃなくてさ










こう…温かい身体を抱きしめてギュッとしたいんだ!

ラクスの温もりをこの肌で感じたいだ!

























「……ねぇ、カガリ。これどうにかしてくれない?」




とうとうSOSを出したキラ達に呼ばれたカガリとミリィは、
今、居間でとてつもなく苦笑に満ちた顔で紅茶を啜っていた


キラとアスランは子供達に囲まれながらもベランダでこちらの様子を見ているだけ




(……逃げたな)



カガリはそう思わざるを得ない





隣で迷惑そうな、
でも少なからずも子どものような彼女が見れた事に対して何処か嬉しそうな、


ミリィの助けの台詞にその背中に張り付いているを見た







、ミリィが困っているぞ。いい加減離れろ」


「嫌だ、人肌が恋しいんだもん」



「恋しいならアスランかキラにでも張り付いてろよ」







突然自分達に振られた事により顔を真っ赤にして慌ててふためく2人をはジトリと見やるだけで



再びミリィの肩口に背中側から顎を置く






「それも嫌、あいつ等ゴツくて気持ち悪いんだもん」


「気持ち悪いって…男はそういう体格なんだから」



「好きで気持ち悪い訳じゃないぞ?」









の容赦ない言葉にまるで頭上から岩が落ちてきたように蒼白な顔つきの2人を尻目にカガリはミリィの言葉に頷くしか出来なかった


それでもはめげずに身体を更に密着させて首を横に振り出した







「い〜や〜だ〜っ、只でさえストレス溜まってんのにこれ以上ストレス溜めたくない!男の体臭なんて嗅ぎたくない!ずっと外に居ろ、そこの2人!!」






(…コイツ……キラって一応私の弟なんだけど…否、関係ないんだろうな)




もうこれ以上聞きたくないとでも言うように両耳を押さえているキラ達が子供達にからかわれているのがカガリとミリィの目に入る







「相当溜まってるねぇ」


「相当溜まってるな」






「判り切った事言わないでくれない」





















「あら、何が溜まっているのですか?」














カガリとミリィが同時に何度目であろうため息を深く吐くと、
が不機嫌そうに返した言葉に


更に続けられた






誰よりも早くの顔が部屋の扉へと向けられる








「ラクスっ!!!!!!!!!!」









突然耳元で叫ばれてミリィは耳を押さえて机に突っ伏す


カガリも一応至近距離であったため、の方にあった耳穴に指を突っ込む








「だからっ!お前は耳元で叫ぶなと言っているだろうが!!」

「うあ〜っ、キンキンするっ。の馬鹿大声ぇ!」








最もな苦情を向ける2人など他所に突然現れたラクスには飛びついていた


会えなかったぶんの淋しさを埋めるように力の限りに抱きついてくるにラクスは笑みを漏らす









「ラクスぅっ、会いたかった!本っっ当、にっ会いたかったよ〜!!!」

「あら、電話なら毎日していたではありませんか」


「電話とは違うんだよ、こうやって抱きしめてキスしてエッチしないと……」






「そこまでっ!一応子ども達も居るんだからそれは言っちゃ駄目だよ」









いつの間にか復活していたらしいキラが部屋の中に入り込んでいて、

の頭をポンポンと叩く







「やっと仕事がひと段落して帰る事が出来たの、ごめんなさいね?」





「否、お帰り」
「お帰りなさい」
「お帰り、ラクス」
「お帰り」


「「「「ラクスお姉ちゃんお帰りぃ〜っ」」」」






「ただいま、ですわ」











カガリ
ミリアリア
キラ
アスラン
子供達


それぞれから出迎えの言葉を言われたラクスは、
嬉しそうに微笑んで返した










「だからさぁ、マネージャー私がやるって言ってんじゃん」



椅子の上にラクスの荷物を置いて、机に腰をかけるとが不貞腐れたように言う

苦笑しているキラの隣でアスランがため息をついた







「お前がマネージャーをやったら仕事を入れないだろうが」



「煩いな、何も手出しできずに居る間に相手に逃げられたお前に言われたくない」


「なっっ!!!」




の言う事も正しいね」

「そうだな、たまには…な」

「あははっ、アスラン可哀想っ」



「あらあら…」





「最近俺の扱い酷くないか?」







うな垂れて呟くアスランにキラも笑っているだけだった


ラクスは久しぶりに会った恋人の顔を見てある事に気付く








…痩せました?」





「え?」







自分の身体に手を這わせながらは苦笑をした


ラクスが忙しかったのは判るけど




実はもその淋しさを埋めるように仕事に励んでいて数日も寝ていなかったのが事実だ








「あ〜…そうかも、5キロは痩せたかな」





「「「「ごっ……!!??」」」」





「…










突然険しい顔になるラクスには慌てて弁解をする







「いやっ、ちゃんと食べてたよ!?食べてたんだけど……」




「朝は食べてました?」



「うん、食べてました」




「お昼は食べてました?」




「…たまに」




「……夜は食べてました?」







「…………食べ…てない、です」













「お前それで良く歩けるな、朝と言ってもコーヒーだけだろう?」


「あの元気はどこから来るの?」





カガリとミリィの言葉には冷や汗たらたらでラクスの顔を見る

それは先程までの柔らかい雰囲気は既に放っておらず、




眉を顰めていた











完璧に怒ってる












「じゃあ…私は部屋に行きますね、皆さん後は宜しく」



荷物を手に取ってラクスがそう言うと、
皆何が宜しくなのか既に判っているらしくそれぞれ席を立つ


出遅れたが皆を見回していると腕を掴まれた




「えっ?私も?」




「ええ、いらっしゃいな」







「…うえ〜っ」









有無を言わさずな姿勢のラクスには苦虫を噛み潰した顔でされるがままに部屋を出て行く



残された4人と子供達は、何も言わずにそれを見送った









「…さて、準備しないと」

「無理矢理食べさせるんだろうから、せめて好物じゃないとが可哀想だしな」

「一ヶ月前も、吐きそうになるまで詰め込められていたぞ?」

「うわぁ、ラクスも良いお嫁さんになるわよね」
















「今回は長かったよね」


「プラントとオーブを計3回往復しましたもの」






ベッドに腰掛けながら、部屋着に着替えるラクスを眺めてがそう言うと


ラクスは顔を見もせずただそう答えるだけだった








「うわ、大変だね」





「…いいえ、貴方程では無いですわ。どれくらい働いたのですか?」







出来る事なら答えたくない


でも答えないとラクスの機嫌が悪くなるのは明らか





その葛藤の中ではとうとう観念して呟く







「………3日不眠不休…」









「…………そんな事だろうと思いましたわ、電話での貴方のお顔は弱々しかったですもの」




頬にラクスの手が添えられる

久しぶりの、温もりに目を細めるとラクスの匂いが鼻についた




花のような、木のような、

とても甘い香り









「…会いたかったよ、凄く」



「ええ、わたくしもですわ」







その手を引き寄せて身体を抱き寄せる

桜色の髪を一束摘んで口付けを落とした



そのままベッドに反転して押し倒す






「んっ……いけません、もう少しでカガリさん達が呼びに来ますわ…」






抗議を唱える唇を自分の唇で閉じた


触れるだけの、それでも深い口付け




しばらくして名残惜しそうに顔を離してその肩口に顔を埋めて横になる








「何もしない…ただこうしているだけでいい」
















そして、は数日振りの眠りについた



気持ち良さそうに寝息を立てているの頭を撫でながらラクスはふと思う







は、私が居ないと何日も寝ない


何日でも、ただ寝ないで私を待ち続ける





前にもオーブ行きのシャトルが故障で帰国が1週間伸びた時




5日を過ぎた頃キラからの緊急連絡で、が倒れたと告げられた
無理を通してお願いして別のシャトルに乗って帰ったら

睡眠不足と栄養失調で入院していた



それでも寝ないで、
私が手を握るとようやっと安心したように眠りについた










だから、






いつでも側に居てあげないといけないの








でもそれは叶わない事だから、

も理解してくれている事だから






それでも心配なのよ
















まるで貴方は手のかかる子犬みたいね






















「ラクス、ご飯……」



カガリさんが部屋にやって来て言いかけた口を塞ぐ




寝ているを見て少し安心したのか、

また後で来ると扉を閉めて行った















会いたいけど



出来ることなら毎日だって触れ合っていたいのは私も同じだけど















それでも、




離れているだけ相手の事を想うのは素敵な事だと思いませんか?






























fin