「どうしてっ…お姉ちゃんばかり!!ずるいよ!」


「どうしてって、は私の恋人なんだから良いでしょう!?」


「良く無い!独り占めしないでよ、私もさん好きなんだから」


「あら残念ね、は私を選んだのよ?貴方はアスランと居ればいいじゃない」


「おっ、お姉ちゃんこそシンと居ればいいじゃない!!」









「…あのさ、2人共その辺で……」








「「(さん)は黙ってて!!!!!」」











「あ、はい」















…何即答してんだろ、私




ホーク姉妹の口喧嘩もさすがに慣れたけど



こんな場所でおっぱじめないで欲しいもんだ

しかも私の両隣でお互い叫んでいるから、耳が限りなく痛い







仕方ないからとりあえず2人は無視して、

途中だった食事を進める




うん、ここのオムライスは絶品だ




と、素敵な感想を述べてみる



…がその素敵なオムライスを私の口まで運んでくれる大事な役割を持ったスプーンを目の前から伸びてきた手に奪われた









「はい、じゃなくて何とかしたら?注目浴びて仕方ないわよ」



「タリアさん、あのさ…コレ私関係無いよね?」



「全然関係あると思うけど?貴方を巡っての喧嘩だもの」



「いや…さぁ、今日だけは勘弁してよ」








何とか、その綺麗な手に奪われているMyスプーンを奪還しようとするけれど

タリアさんは涼しい顔で冷静に無視してみせる



この2人を何とかしろ、という合図だけ送り出して







改めて両脇を見ると、

そっくりな顔にそっくりな髪の色をした…でも性格は正反対の2人



片方は私の恋人で


片方は私の妹分で








…2人同時に相手するのは物凄い精神力と体力が要る


これはアスランも賛同済みな事実





『お前は凄いよ、あの2人は…なんて言うか……』

『……アスランも苦労したんだね、ミネルバ移籍時代は』

『………それに加えてミーアだぞ?』

『…あぁ、俺はモテる宣言か。大層なこって』

『っ何でそうなる!?俺はただ…』

『煩い、アスラン。黙れ、もう』







確かにこのメンバーで、

屋外テラス付きレストランで騒いでいたら非常に目立って仕方ない












「あのさ、お2人さん…」






恐る恐る声をかけてみるけれど、


2人は、それぞれ私の両腕を掴んだまま未だに喧嘩していた








「あ〜、え〜…とね。2人が静かにしてくれないと私がオムライス食べれないんだけどな〜」










……効果無し


ちらりとタリアさんを見ると、苦笑して見守ってくれていた


いやいや、見守ってないで援助してよ








「…お〜い、いい加減にしてくれないと………タリアさんに心移りしちゃうぞ」






最後は、

至極

至極小さな声で



囁いてみただけ…だけど







あんなに呼びかけても反応してくれなかった2人が一気に私の顔を見る









「「今、何て言ったっ!!!???」」






「え?否、何も」











物凄い剣幕に思わず引いて否定してしまった

が、2人はそんな事で納得する訳なく掴んでいた私の腕を更に掴んでくる









「嘘!!今すっごく聞き流し難い事聞いたわよ!」



「……痛いんだけどなぁ…ははは」



「ちゃんともう1回言ってください!さん!!」



「メイリン、痛いって本当…千切れる」



!!今何て言ったの!?」



「ルナ、ルナ、本当千切れ…」













「「(さん)!!!!」」








「もう嫌っっ!!!!!!!!!!!!!」










2人の腕を振り払って、向かいに座っていたタリアさんの胸に飛び込む



唖然としている2人を他所に優しく頭を撫でてくれるタリアさんがお母さんみたいで、

もう此処を避難場所にすることに決めた






「タリアさん、か弱い私を守って」

「……」




苦笑する彼女の膝に乗っかると、決して引き剥がされないよう








「あの…さん?すみません、謝るので…」



「メイリンなんか嫌いだ」







恐る恐る声をかけてくるメイリンを一刀両断したら、

大きな岩石が頭上に落ちたかのような顔が窺えた







?…艦長が困ってるから」




「ルナはもっと嫌いだ」














……どきどき








…………どき、どき











……………どき…どき?













メイリンとは違って特に表情に変化も見られないルナの顔を覗き込んでみると


見事に上手い事陰がかかっていて






非常〜にっ、恐い














「…あぁ、そう……」





「え?」









「私だってアンタなんか大嫌いよ!人の気持ちも知らないで!!」





「ちょっ、ルナ!!」













そう叫ぶいなや、すぐさま立ち上がって何処かへ駆けて行ってしまったルナを見送る

あぁ、やっぱり足速いな…









……だっ!!!









思い切りまたしても頭を叩かれて、


そこを擦りながら犯人であろうお方を見上げた







「追いかけなさい」


「え?…だってさ、面倒くさいじゃない」


「…追いかけなさい。艦長命令よ?」


「ずっりぃ〜っ!!こういう時だけ職権濫用だよ!」


「じゃあ、女として命令するわ。貴方、うちの大切なクルーであるあの子の恋人なのでしょう?」










「……らじゃ…」















ぴょん、と居心地の良いタリアさんの膝の上から飛び降りると



ちらりと視界の隅に入ったメイリンの頭を撫でる












「お姉ちゃんと仲良くしなよ?私ならいつだって君の相手するからさ」


さん…」







可愛い、そう…



悪魔でも可愛い妹分だから、君は












私の恋人はあの子だから、ごめんね?















、スイッチオン!


全速力でレストランを飛び出すと、ルナが向かっていった方向を同じく駆け抜ける





少ししたところで、その姿が見えて




スピードを上げた













「ルナ!!待ってよ、ルナ!」



「っっ…速いわよ!そんな…追いつかないでよ!!!」



「いや、そんな事言われても…」



「馬鹿馬鹿っ!!なんか大っ嫌い!!!」




「それはさっき聞いたから!ストップ、ストップ!!プリーズ!」













…止まれっつても追いついちゃうんだけどね




背後からルナの背中へ突っ込んで抱きつく


前のめりに倒れそうになるのを何とか堪えて、そのまま抱きとめた







通行人が何事かと見てくるけれど、


今はそれどころじゃないのだ







あ、皆さん

間違っても強姦とか誘拐とかじゃありませんからね?


そこんとこ誤解しないでくださいよ?












「ちょっ…離してよ!」



「嫌だ〜ぁ…、じゃあルナが逃げなければいいじゃん」



「嫌よ、貴方が嫌いなんだもん」



「あ〜、あんま言われると本当傷つくなぁ」



「本当の事じゃない!それにこんな所で恥ずかしいから!!」












…かっち〜ん






「ちょっと…痛いっ、痛いわよ!何するの!?」





暴れる彼女の腕を無理矢理引いて、路地裏へ連れ込む


そして未だに喚き続けるその顔の横に腕を強く壁へと叩いた








「っ…な、何?」




「本当に嫌いなの?」





「……そうよ!悪い?」








「…………そう、じゃあ…恋人同士も無理だね」






「え…」








「一方が嫌いだってのに恋人として想い合う事なんて出来やしない」







…ちょっと、本当に怒ったの?」










不安げに見上げてくる彼女の顔を見ていると、

段々怒りが募っていく




ルナなんか放っておいて、艦へ帰りたい気持ちを抑えて


その顔を真っ直ぐに覗き込んだ





そして、



私は物凄く怒っている事を告げる











「そりゃ怒りたくもなるさ!くだらない事で毎回毎回嫌いだって言われる身にもなってみろよ!!」








「くだらないって…何よ……っ…」











……あ…






泣い…ちゃった…よ、また










ルナの目から涙が零れるのと同時に、

あんなに興奮していた気持ちが嘘のように収まっていく




次第に嫌悪感さえ湧き出てきた


自分に








大切な恋人を不安にさせてばかりで



大切な恋人にいつでもすぐにキレて



大切な恋人をいつも泣かしてしまう











そんな自分に嫌悪が差して嫌で堪らない















「ごめんて、……泣かないでよ〜、もう…」




「だって…っひっく……が、…怒るんだもん」





「怒ってないから、怒ってないって!あ〜…もう……」











その頭を抱きしめて肩に乗せると、


彼女の肩に自らの顎を置いてうな垂れる









ルナの後頭部をぽんぽんと叩きながら、何とか言葉をかけて宥めるけれども



その、一旦溢れ出した涙は止まる事を知らず






私の肩を濡らしていくのが判った












「おこぉ〜ってないからっ、怒ってないない…だから、泣かないで」







「うぇ…の……馬鹿ぁ…っく……」



「まだ言うかね、君は」



「うぁぁんっ、馬鹿馬鹿!!」




「うおっ、スミマセンスミマセンっ、馬鹿でいいです。私は馬鹿です!」




「うっく…、大馬鹿…」




「…ハイ、大馬鹿デス」




「っ…最低ぇ…」



「イェス、最低デス」




「…なんか、なんか、大っ嫌い!!」





「…………ぐさっ…」





「アンタなんか死んじゃえばいいんだぁ!」





「…ルナさん、おぉい、気を取り直してちょ。あのさ…」





「ぐすっ…何、よ……」











ルナの両頬を押さえて自分と向き合わせると、

泣いたせいでで腫れぼったい目淵と

涙で潤んだ顔とか



全部が可愛くて愛しかった
















「本当に死んだ方がいい?私」






「………嫌よ……」












がしっ、と



抱きつかれて



思わず自然に笑みが出てきた












「嫌よ!どんなにデリカシーのないアンタでも、どんなにどうしようもないアンタでも…ッ大好きなんだもん!!」






「あ〜、ありがとぉ……うん、どうしようもないね、私」









耳元で叫ばれて、


再び襲い迫ってくる痛みに堪えながら




もう1度だけ頭を撫でてあげる












「っ…はぁ……」








気の済むまで泣けたからか、

大きくため息をついてからルナはポスッと額を肩に乗せてきた





そういえばいくら路地裏とはいえ、

街中で私達何やってんだろう、と苦笑していたら




耳元でこっそり囁かれる
















「アタシ、何でこんな人好きになったんだろ…」
















……ははは、おっしゃる通りです








………あはは、ごもっともです




























……………………え?



































fin