「ねぇ、聖、蓉子、令ちゃん、祥子姉ちゃん」
善は急げというだろう
別に善じゃないんだけど、私としては湊の事が気がかりだし
だから休み時間に目的のメンバーを集めて、
廊下の隅へ
何故か江利子もいるけど…
大方面白そうだから、だろうから気にしない
「女の園へ行きたいと思いません?」
「「「「「はぁ?」」」」」
だからお前は関係ないって、江利子
皆の顔をぐるりと見回す
「ん〜、要するに湊の所に行くのについて来て欲しい訳」
意味の解釈を求める5、いや4人に簡潔にそう伝えた
しばらく皆考えるような素振りを見せて、
蓉子が拳を叩く
「あぁ、この間の人?」
「そう」
やっと全員納得、と頷いた
が、
急に私を再び見てくる
「女の園って、あの人の職場の事!?」
かなり驚いた顔をして聖がそう叫ぶ
声大きいよ
「そう。聖大正解、ピンポンパンポー……」
「そんな軽く言ってる場合じゃないでしょ!職場ってつまりクラブって事じゃない!!」
ちゃらけてみたら、案の定祥子姉ちゃんに咎められた
あ〜、やっぱり祥子姉ちゃんには刺激が大きすぎたか…
そりゃお嬢様には、ね
「ま、そういう事になる」
「そう…で、行ってどうするの?」
…蓉子、静と同じ事言わないでくれよ
「もう一度関係取り戻せたらなって」
「関係って…」
「もちろん、今までみたいな関係じゃない」
苦々しげにそう呟いた令ちゃんに訂正を促す
お互いを必要な時に求める、それだけでいいんだ
お互いから呟かれる言葉に安心感を持てればそれでいいんだ
貰うだけじゃなくて、
与えたい
「わかった、そういう事なら協力するよ」
「うん、何をすればいいの?」
「何も。ただ居てくれればいい」
あ、でも聖と令ちゃんは居てくれるだけには留まらないだろうけど…
私は、例の手紙を手に教室を訪ねた
湊は今夜
そしてもう1人は、今
「あ…っ」
声のした方を振り向くと何人かの女の子に囲まれている彼女がいた
「…さん……」
「どうも」
周りの子達がざわざわと私を見る
まぁ、しょうがないか
あんな事があったんだし…
「ごめん…ね?」
大きく見開かれたその瞳から涙が零れ落ちる
私は今、この間とは違う自然な笑みを向けることができている
「ありがとう、好きだって言ってくれて」
嬉しかった、と
周りが居るのにもお構いなく
私は彼女をそっと抱き締める
「貴方ねぇ、要するに天然なのよ」
「無意識に人を惚れさせますからね、自分に」
「お姉さまと違うのが無自覚、という所だけなのね」
「……勝手な事ほざかないでくれる、そこの雑魚」
「ざっ、雑魚ぉぉぉっ!!??」
「うぅ…ひどいよ、ちゃん」
「あらあら」
本当は雑魚なんかじゃないけど
こうやってわらわらと周りに集ってくれば
餌に群がる蟻と呼ばれても仕方ないと思いますがね
こうやって休み時間ごとにわざわざ私の所を訪ねて来られたら
こうも言いたくなりますってもんですよ
「別に惚れさせてなんかないよ」
「廊下で抱きつけばかなりの歓声があがったんじゃないの」
どうやらあの様子を由乃は教室のドアの影から覗いていたらしい
後になってそれを聞かされた私は彼女にゲンコツを喰らわせたのは言う間でもない
「抱きついたんじゃなくて謝罪の抱擁」
「じゃあ私にも謝罪の抱擁」
頭を擦りながらそう言って両腕を広げる由乃にまた握り拳を見せると、
冗談じゃないと悪態をつきながら止めてくれた
「そういえば確かに周りが煩かったような…」
でしょ?とため息をつく三人組
なんだよ、ムカつくなぁ
「後は今夜だけだね」
「「「今夜?」」」
「そう、今夜」
今夜
何が起こるかはわからないけど
でも何かが変わるのは必須だから
いや、変わるんじゃなくて
変えるんだ
少し勇気の足りない私に力を貸してくれる人が、
側に居てくれるから…
next...