いくつ 涙を流したら
Every Heart
素直になれるだろう
誰に 想いを伝えたら
Every Heart
心満たされるのだろう……
長い長い夜に
怯えていた
遠い星に 祈ってた―――――
手が、温かい
此の温もりを私は良く知っている
他の誰でもない、彼女だけのもの
ずっと欲しかったもの
手に入れてはいけないけれど、それでも求めていたもの
そっと目を開いて、横を見てみると
何故か其処に布団を敷いて疲れ果てた眠り顔を晒しているルキア
私の周りは水輪丸が覆っていて
その水の中にルキアは手を突っ込んで私の手を握っていてくれた
水輪丸は全てのものをはじき返す防御能力を持っている筈なのに、
どうしてルキアはこうして手を沈める事が出来ているのだろうか
嗚呼…水輪丸
お前はルキアだけは受け付けぬ事はせぬつもりで私を包んでいてくれたのか
もう誰にも傷つけられる事のないように
けれど絶対に何があっても傷つける事などしないルキアにだけは其れを承諾して
お前は、何処までも素晴らしい相棒だな―――――
そういえば私は死んだと思っていたのに…
どうして此処で
尸魂界の中にある
瀞霊廷の、
医療牢で眠っていたんだ?
めくるめく考えているとふと牢の入り口の扉が静かに開く
今はかなり遅い時間
其れは鉄格子の並んだ窓から見える月が物語っている
こんな時間にこんな場所へ来る者などいるのか
重たい目蓋を再び開けてそちらへやると
その人物は私と目が合ったのでかなり驚いていた
けれどすぐにふと優しい表情を浮かべて此方へやって来る
「起きたのね?」
「……」
その言葉に返答しようと口を僅かに開けてみるものの
水輪丸の中にいるという事を失念していたせいで、
其処からは気泡が溢れただけで言葉など発される事などなかった
己の斬魄刀の能力だから別に息苦しいとかはないけれど
でもやはり言葉を発する事は論理的にも出来ぬ事だった
そんな私を見て、その人物は目を細めて更に深く微笑む
「喋りたいのに喋れないというのなら、斬魄刀を解いたらどうかしら?」
「………(それもそうだ)」
「それともまだ解けない、解きたくないとでもいうの?」
「………(さぁね)」
「まぁそのままでいいわ、聞いて欲しい事があるのよ」
「…?」
ずっと眠っていたせいか表情を作って会話する事すら出来ない
けれど彼女はそんな事気にするふうもなく只淡々と言葉を発していた
ふと、私の手から繋がっているルキアの手に目が行き、
そのままルキアの存在を認めると傍らにしゃがみこみ掛け布団を掛け直す
「相当疲れているのね、此処一月ずっと貴方に付きっ切りだったもの」
「…(ルキア)……」
「貴方の怪我の事なの、話というのは。貴方は普通は即死している状態にあっていたわ」
「……(護廷十三隊が本気出せば、さすがに私でもなぁ)」
「けれど生きている、それは私の推測でしかないけれど貴方の斬魄刀が守ってくれたの」
「………」
「そしてそのために全ての力を使いきった…更に最期の力を振り絞って今貴方を覆っている膜を作ったのね」
「…」
「つまり貴方の、…水輪丸は実質上もう死んでいるという事になるわ」
「…っ…!?」
「残念だけどもう2度と貴方が斬魄刀を使う事…すなわち霊力を使う事は出来ないの」
「……………」
「、貴方はもう死神として生きる事は不可能よ。…其れを心構えて欲しくて」
斬魄刀はその人の霊力の高さ、密着度に比例して形が成り立つもので
つまり水輪丸が死んだという事は
私の霊力は尽きたという事で…
もう2度と瀞霊廷で死神として働く事は出来ない
それどころか流魂街の愚族共にすら劣ってしまう
全てを力を失った、のだ
そっか
水輪丸
最期の最期の力を振り絞ってまで
私を護ってくれたんだな
有難う…
最初から最期までお前には迷惑をかけっぱなしだな
ごめん
もう…眠って良いから
私はもう大丈夫だ
安心して眠ってくれ、水輪丸………
『、お前と巡り会えて私は幸せだった。此れで私は安心して眠れる…』
「私もお前が相棒で良かったよ……おやすみ、水輪丸」
夜更けに一筋の光が瀞霊廷を突き破り天へと昇って行った
その眩しさに誰もが眠りから離れ、
寝床から窓を見やる
そしてその水色の光の神々しさに感嘆のため息を漏らし
その光に見覚えがある者は寝巻きに上着を羽織り、寝床を飛び出した
ルキアも、
その眩い光に驚き目を覚ます
傍らには何故か四番隊隊長卯ノ花烈が居て、
ふと優しげな面で牢屋の中を見守っていた
その笑みに私の胸を何かが駆け抜ける
もしや、と
勢い良く身を起こし、
握り締めていた自分の手から少しずつ上を見る
「おはよ、ルキア」
「……っ!!!!!」
ルキアが尸魂界を離れる前に良く目にしていたあの笑顔で、
は少し寝癖のついている自分の髪を掻き毟りながら
久しぶりの声を発していた
その声がとても心地よく素直に耳に届く
今すぐに駆け寄って抱き締めたい
というのに、私達を牢の鉄格子が遮る
唯一繋がってる手を強く握ると、
も強くそれでいて優しく握り返してくれた
其れが嬉しくて、涙が頬を伝う
隣の気配が動いたかと思うと卯ノ花隊長は牢の鍵を開けて、
小さな扉を開くと私に中へ入るように促してくれる
私は直ぐにその入り口を身を屈めて通り抜けると、
ベッドの上で上半身を起こしているの身体に抱きつく
今度は温かい
あの夜のような冷たい身体なんかじゃない
「っ…このたわけ!」
「痛……はは、ルキア。久しぶり」
「……私がどんなに心配したか」
「うん、有難う」
「………会いたかったぞ…」
「…うん」
「今度こそ言う、私は貴様が大好きだ」
「……うん」
「文句あるか!?」
「否っ、無いって。無いけど…嬉しくて泣きそうだ」
「私なんか大泣きではないか、いい歳して」
「確かにいい歳したオバサンがねぇ…」
ごすっ
此の減らず口憎まれ口は間違いなくのもの
私の拳骨がヒットした自らの腹を抱えて呻いているのも、
間違いなく私の大好きなだ
もう離さない
もう逃がさない
もう…――――――――
めぐるめぐる時の中で
僕たちは
愛を探している
強く強く
なりたいから
今日も
高い空 見上げている...
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