めぐるめぐる時の中で
僕たちは
愛を探している
強く強くなりたいから
今日も
高い空 見上げている....
時が流れるのは早く
風のようにあっという間に去っていった
真っ暗な闇
月を背後にその背中を伸ばして襲ってくるのは巨大な大虚
其れも数体
黒崎一護は息切れしながら
夜の道路に跪いていた
去っていった時に比例するように一護の顔つきも青年のそのものから大人になっている
幾ら強くなったとはいえ、
こう立て続けにキリが無いと体力も底を尽きる
尸魂界からの救援はまだなのだろうか
いつもは楽々と掲げられる巨刀も重く感じた
最後の力を振り絞って立ち上がり、刀を構えるが
どうしても振り上げる力は出ない
「くそっ…」
悪態をつきつつも、
此処で今自分が諦めたら此の町は危険に迫られるのだ
突然大地が鳴り響くような音がして
ずずずんっと大虚の一体が前のめり倒れてきた
一護が目を見張る中、
その大虚の背中に優雅に立つ者が現れる
真っ黒な死覇装が夜の街に一体化し、
けれどその白い髪の毛が靡くため
闇の中に一筋の光が照らしたかのような目の錯覚を受けた
「よぉ、手こずってるようだな」
奴は口角を吊り上げて、
何度見ても癪に障る笑い方をする彼女
そして肩口までしかなかった髪は背中を流れている
其れを綺麗に靡かせ、
刀を今しがた倒したばかりの大虚の背中に突き刺し、
手を添えて残りの3体の大虚を見上げた
「お前らもまとめて相手してやるよ」
そう言うなり、
は大虚の背中を蹴って宙に舞い上がる
そのジャンプ力の物凄い事
あっという間に3体の大虚の頭上まで飛び上がり、
刀を振り下ろし
一護が苦戦していた奴等を容易く魂葬してしまった
片付け終えた後、は一護の前に着陸し刀を仕舞う
「はっ、さすがさんだ。すげぇ」
「当然だろ、霊力がなくったって強くなる方法は幾らでもあるんだ」
「其れ、もう…斬魄刀じゃねぇんだろ?」
「ああ、此れか?」
一護の訝しげな問いに、
は刀をしまった鞘を持ち上げてくるりと手の周りで回す
「もちろん、只の刀だ。剣八と同じ、な」
「へぇ、其れで魂葬が出来るんだな」
「おいおい、剣八だって死神だぜ?しかも隊長だ」
「いや、素直に吃驚しただけだよ」
「ふん、…そういや織姫達元気にしてっか?」
「おう!」
ぱしっと鞘を掴み取り、
帯に指しながら表情を緩めて尋ねると
一護も少し笑って力強く肯定した
あの後藍染惣右介に拉致られた織姫を救出したのは一護達だ
ルキアと恋次は加勢に向かったが、
其の頃は修行どころか回復もまだ満足できていなかったため
は加勢に向かう事を許されなかったのだ
けれど数日して、ルキアと恋次は疲れ果てて
しかしそれでも無事に帰って来た
井上も一護や石田やチャドも無事だ、と
ルキアが嬉しそうに話すを聞いてやっていた
そして今に至る
此の町に来るのは何年振りだろうか
けれど大地を踏みしめるのは気持ちが良いものだ
あの夜は其れが怖くて、
ずっと空を歩いていたけれど
今はもう許されたと思っていいのだろうか
じゃり、と小石がコンクリートに当たる音がする
「ルキアはこっち来てんのか?」
「ああ、何処かではぐれちまったけれど現世には来ている筈だ」
「そうか」
「何だ?会いたいのか?」
そう言うの眉間には皺が深く刻まれた
一護もしょうがねぇな、というふうに苦笑して返す
「一応俺達も戦友だぜ?そいつに会いたいと思うのはいけねぇのか?」
「戦友か、なら良い」
「ふっ、変わらねぇな」
「ああ、変わったことといえば此の美貌にますます磨きがかかったって事だ」
「自分で言うか?てめぇ」
「何だ?事実だろうが」
「ふん」
けれど
の風に靡く白く長い髪は美しい
目を細め、町を見渡す横顔はもっと美しい
凛とした目つきに整った鼻
同性にモテるだけれど
異性にだって当然モテであろう存在だ
「ったく、此れで死んでんだから勿体ねぇよな」
「お、なんだ。惜しい事したとでも思ってくれるのか?」
「ぐっ、…ルキアはまだ来ねぇかな。アイツが居ねぇと此の人の相手するには重荷だ」
「青臭いガキが何を言ってんだ」
鼻で笑いながらは後ろを振り返る
僅かに感じた
けれど此れは間違いなくルキアの霊圧
少しして街道からルキアが死覇装をはためかせて走ってきた
「ルキア、遅かったじゃん」
「こンの…」
余裕で構えているに、ルキアは鬼のような面でそのまま突進を続ける
只ならぬ気配にも一護も構えるが、
ルキアはそのまま足を上げて飛び上がってくる
「たわけめがぁ〜〜〜っ!!!!!!!」
「ぐはっ」
見事にルキアの足の裏はの頬にクリーンヒットした
は何mか吹っ飛んで壁に激突する
音からしても物凄く痛そうだ
「……相変わらずだな、お前等」
「ふんっ…おお、一護。久しぶりだな!」
「ああ」
雨は止み、風は吹く
涙は止まり、笑顔は続く
そうして生きていくんだ
何も変わらない
ちっぽけな世界だ
けれどこの世界の何処かに、君は居る
君に会える事を願って、
君と一緒に居られる事を想って、
今日も私達は歩き続けていくんだ―――
「ルキア、今度は一緒に歩いて帰ろう」
「嗚呼、貴様が置いていかなければそんな事にはならんだろうな」
「ははっ、悪かったって。ほら」
「うむ」
だって私には、
手を差し出せば握ってくれる君が居るんだから――――
めぐるめぐる時の中で
僕たちは
生きて何かを知る
ときに笑い
少し泣いて
今日もまた
歩き続けて行く........
fin