「はっはぁん」
プールサイドに立てられているパラソルの下で、1人の美少年が得意げに口角を吊り上げた
否、訂正しよう
美少年のような、美少女が得意げに口角を吊り上げたのだ
水着の上に羽織っているパーカーが太陽の紫外線を遮る役割を果たしている
其の隣で同じく紫外線を遮るための日焼け止めを腕に塗っていた美女が首を其方へと向けた
「どうしたの?」
「重大な事を思い出したよ、祥子」
随分と年上そうな彼女へと平気で名前を呼び捨てにした美少女は、
其の祥子という美女に真剣な顔で向き直る
2人の前では2人にも負けていないくらい美男美女達がわいわいはしゃいでいた
美男もとい、美男子に見える美女3人と美女1人が正真正銘美女の1人をプールに落としたりして遊んでいる
其の落とされた美女は首筋で切りそろえられた綺麗な黒髪を顔や肌に貼り付け、
相当怒っているらしくプルプル震えながら4人を見上げていた
けれど4人があまりにも楽しそうに子供のように笑っているのを見て、
脱力したようで
其の美女も笑い転げ始めた
そして道連れにでもするかのように4人の腕を一気に引っ張ってプールの中へと引きずり込んだ
そんな彼女達を見ながらは呟く
「私、聖と微妙な空気になっているのすっかり忘れていたよ」
「…何を今更、ね。ふふっ」
「だってこんな、プールに来て遊んでいる状況じゃないと思うんだけど」
「でも貴女だって乗り気だったじゃない?」
「そりゃ久しぶりだし…何よりも皆で出かける事自体久しぶりで……」
「嬉しかったんでしょ?」
「……うん」
図星を突かれて赤面しながら項垂れているの素直な返答に、
祥子は可愛くて仕方ないというように頭をくしゃくしゃと撫でてやった
前髪の間から祥子の顔を覗き上げ、はぽそりと口を開く
「何かさ…いつも堂々としていて、祥子は本当女性として格好良いよね」
「あら、有難う」
「祥子は昔からそうだったの?」
「さぁ…自分じゃ判らないもの」
「ふぅん」
優雅に足を組み替え、長い髪を靡かせる祥子はやっぱり綺麗だと思う
無意識にそういう仕草をしてのけてみせるというのはやはり育ちも表れているのであろうか
はやはり感心するだけだった
「……令とさ、長いでしょ?付き合い」
「そうね」
「令は優しいけど、其れだけじゃ上手くいかない事もあったでしょ?」
「ええ、其の通りね」
「そんな時どうしたの?」
「ねぇ、。優しいだけじゃ人は生きていけないわ、でも本当に優しい人は自らの力で其れをコントロール出来ない…判る?」
「なんとなく」
「其れでいいわ。だからそういう人の心の奥を引き出してあげる人が必要なのよ」
「引き出してあげる人…」
「そう、そして其れは1人だけではないの」
「え?」
俯いて考え込むに、
祥子は前を仰いで目を細めた
其の瞳に写るのはずっと変わらない友情を誓った大切な仲間達
救われた事は数え切れない程あった
頼りないものの救った事だって幾度かはあるだろう
救い、救われる関係は永遠に変わらない…
「、輪を作りなさい。人の輪を。其れは貴女を何処までも導くわ」
そして其のままの手を引いて皆の元へと連れて行く
5人はびしょ濡れになったままプールサイドで未だに笑っていた
水着をちゃんと着ていなく、上は服だった累がプールに入った事で監視員から笛で指摘され、
蓉子が頭を下げている後ろで大体の犯人である4人はケラケラ笑っていたのだ
いつもこういう事は蓉子の役割である
もう蓉子も其れを嫌と言う程判っているから、あえて何も言わない
…累さんと蓉子と祥子の話は聞いた
皆違う言葉を綴ってはいるけれど、
言いたい事の本質的な事は同じなのだろう
3人とも人との繋がりを大切にするように言っていた
恐らくお互いがそう思っているからこそ
この人達の友情は何十年経っても変わっていないんだ
「人と、人の…繋がり」
誰に言うでもなく
誰かが聞いている訳でもなく
はただ1人
自分に言い聞かせるように呟いた―――――――――
聖は、其の繋がりを大切にしてきたから
あんなに素敵な人達が常に周りにいるのかな?
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