ゆらゆら、と
ゆらり
狂い踊る人々――――――――
2人とぼとぼと歩く道
銀杏並木
もう黄色に染まっている銀杏の葉
其れを拾い上げて彼女は後ろに居る彼女へと其れを翳した
「見て、綺麗」
「…うん、そうだね」
翳された彼女は微笑みながら其れに応える
翳した彼女は再びくるりと身体を反転させて前へと歩きながら銀杏を指先でくるくる回しながら続けた
事態の収拾が尽かないからと早退の許可を貰ったため、
2人の片手には鞄が握られている
聖は吐き出した息が白くなり、風に流されていく様を見つめていた
「ねぇ」
「……うん?」
ふと、前を歩いていたが自分に背を向けたまま呼びかけた
「私は江利子を取るわ」
「…………うん」
「だから、もう貴方とは2人だけで会わない。廊下ですれ違っても他人よ」
「うん…」
「…ねぇ、聖」
「…うん?」
「私は貴方を少しだけでも助けられた?」
"、私ね。今おかしいんだ、何だか"
"それをどうにかしてくれるのは蓉子でも江利子でもない。しかできないような気がするんだよ"
"ねぇ、助けて…"
聖は自分が言った言葉を思い出した
そして小さく息を吐いてから、真っ直ぐに前を見据える
すると何時の間にこっちを振り返っていたのか、は此方を見つめていた
風に攫われる長い髪を片手で押さえながら、少しずつ微笑んでいく
ゆっくりと満面の笑みになった彼女に
私もゆっくりながらもそっと微笑んだ
「うん、お陰でもう大丈夫。私は元通りになったよ、有難う」
「どういたしまして」
そしては手にしていた銀杏の葉を私へと差し出し、
それじゃね、と背を向けて遠ざかって行った
そっと頬を伝う涙
手に力を込めれば直ぐに潰れてしまうであろう銀杏の葉
どれもが私を扇情的に描き立てる部品でしかない
有難う、…
有難う、聖
判っていた
逆に私を元気付けるために聖は傍に居てくれた事を
別に私達は江利子の言うように愛を育み合っていた訳なんかじゃない
聖は江利子と上手くいってるか、困った事はないか、
いろいろ心配してくれていただけなんだ
聖は本当に優しかった
江利子も優しかったけれど
聖は自分に後ろめたさがあるから余計に私に優しかった
でも私は嬉しかったの、それでも
あの頃手に入れられなかったものが
今こうして傍にあることが
ごめんなさい、私は強欲ね
でももうさよならだわ
貴方と輝いていた数日間とはさよならよ
貴方とはさよなら
遠くに江利子の姿が見える
私がいつも江利子を待っていた木の下で
舞い落ちてくる銀杏の葉をぼーっと眺めている
さよなら、愛した人
さよなら、愛する人
「江利子!」
ゆっくりとスローモーションのように此方を見る江利子
そして次第に見開かれていく目を見て私は意地悪っぽく笑った
「ごめん!待った?」
未だにポカンとしている江利子の前にしゃがんで、
彼女の頭に落ちた葉っぱを取ってあげる
「"ごめんね、会議が長引いちゃって…"」
いつも江利子が自分に言っていた言葉
其れをそっくり返すと、
江利子の両目に涙が浮かんできた
「……?てっきり聖と帰ったものだと……」
「ううん、聖とは帰り道違うもの」
「…っ」
「私は江利子と同じ帰り道、そうでしょう?」
そう言うと差し伸ばされた手を握った
其の手の平はとても温かった
「っ……」
「……うん…」
泣きじゃくりながら私の身体を抱きしめてくる江利子に抱き返す
肩を震わせながら涙する江利子がとても小さく感じた
「もう何処にも行かないで…」
「……うん…」
此れでいい
此れで…いいのよ……―――――――――――
いくら泣いても
涙ってものは
決して枯れゆく事などないと知りました
この星空が
こんな輝くのは
このどれかに君が居るからなのでしょう...
next...