一言で言うならば、冷たかった



あの子の身体はとても冷たくて…





何だか涙が止まらなかった



家に帰っても、


頭に浮かぶのはの事ばかりで




浮かんでも想うのはただ悲しみばかりで









どうして?


どうしてあの子は貴方に似ているのよ




ねぇ、聖




そっくりね、




貴方に…



いえ、正確に言えば1年前の貴方に










だから放っておけなかったの?


そう聞かれたら真っ直ぐこう言うわ



違う、と






聖には聖の持つ雰囲気で放っておけなかったのよ



にはの持つ雰囲気で放っておきたくなかったのよ…




判る?この違い









どうして貴方は私が抱きしめると発作を治めてくれるのか、



考えてみたの







もちろん、私を好いてくれるからという考え方に結びつくかもしれないわね





でも…それも違うのよ





あの子の中で私はあの子の母親に比較的近い存在なのよ、きっと




この年で16歳の子どもを持つだなんて考えられないけれどね



貴方に他の人達と違う存在として見て貰えるなら、




それでも構わないと思っていたの











だっての人生で一番好きなのはお母さんでしょう?



そのお母さんの居ない世界では必然的に貴方の一番好きな人は、

そう

私だって思えるから





恋愛感情じゃなくていいわ






今は、違っても…




いつかは



水野蓉子を見てくれればいいのよ











「蓉子は…私に似ているからあの子を好きになったの?」


江利子とが風呂から上がるのを待つ間、ふと聖の口から紡がれた言葉に私は笑みを零す




「凄い自信ね」


妹達が人数分の紅茶を淹れながら、聞いているとしても構わなかった


私は聖を好きだった事を否定しなかった




「違うならごめん、…でも江利子はともかく蓉子のあの子に興味を持つキッカケは私にあったと思うんだ」

「…そうね、違わなくないわ」



「……そっか」




それだけ呟いて再び沈黙を保つ聖に、

私は付け加える事にした



「でも今は違うわ、貴方よりもが好きよ」


「……ふふっ、それは母親として?女として?」



一瞬目を丸くさせると、静かに笑いながら聖はそう言う
祥子が差し出してくれた紅茶を一口飲んで、

自分の気持ちを落ち着かせると





「もちろん女として」


「……こりゃ恋敵がたくさんだ」






「私も負けませんよ?あの子の土台を築いてきたのは私なんですから」


「私もです、の初めての親友は私と由乃ですから」






「令と祥子は今のところ大きな壁じゃないから大丈夫」


「っどういう意味ですか!?」



「だぁかぁらぁ、今のの目には蓉子が一番輝いて見えているからって事」




もちろん、母親としてとウインクしてみせる聖が何だか小憎らしく思う













「いいわよ、その位置を有利に使って皆より遥かに差をつけるから」






世界の全てに絶望しているまだ小さな子ども


世界の全てに絶望しているまだ若い人間



世界の全てに絶望するにはまだまだ早すぎる貴方








暗闇には光が相成って存在するのよ





貴方は今まで暗闇に居たの、ずっと…



だから光の心地よさをまだ知らないわ







貴方の放つ微弱ながらも強い光には劣るけれど、



それでもいくつもの光に照らされればそれはもっともっと光り輝けるものなのだから







私が、



貴方を優しく照らす太陽となりましょう…






私達が、




貴方を優しく包み込む太陽となりましょう……











だからどうかその輝きを失わないで




私達が貴方を見失わないように




















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