「もう可愛いな〜、やっぱり私達と一緒に寝たいだなんて」

「貴方も年相応の子どもだったのね、何だか安心したわよ」



「……煩いな〜…」








でれっとした笑顔を向けて頭を撫でてくる2人に、
は不貞腐れたように頬を膨らませてそっぽを向く

けれどやっぱり我が子は目に入れても痛くないという言葉があるように2人とも至極嬉しそうにしている



目が覚めたはもう1度温泉に入りなおそうと部屋から出た所、

途中でフロアーを横切るため其処に集っていた皆と鉢合わせをしたのだ





皆に促されるがままにそのまま其処に座らせられ、紅茶を飲ませられた挙句今に至るという訳だ


小さな声で両脇に居る聖と蓉子に囁いたら、あっという間に2人とも頬はだらしなく緩んでしまった




令も祥子も江利子も祐巳も志摩子も由乃も乃梨子も微笑ましくその光景を見守っていたけれど、

何故か累だけがじろりと聖を眺めている



その視線に気付いた聖が呆気に取られると、累は静かに唇を開く











「其れはいいんだけどさぁ、聖さん何か忘れてない?」

「え?」

「…………」

「……え?」

「…………」

「………はい?」

「…否、何でもない」







首を捻って何事かと思い出そうとするが、
結局判らずじまいで累に理由を問いただすが

累は深くため息を吐いて首を横に振って否定する



そして、立ち上がると江利子に手を差し伸べる







「そろそろ寝ようよ、江利子さん」

「ええ、そうね」







累の手を取り、立ち上がる江利子に次いで皆もパラパラと立ち上がる


そして簡単に挨拶を交わすとそれぞれの部屋へと続く廊下へ姿を消す






取り残された聖と蓉子との3人は、互いの顔を見合わせた







「……何が言いたかったんだろう、累」

「知らないわよ、貴方との会話でしょう。私が知る訳ないじゃない」

「…鈍感」

「え?」

、判るの?何の事か」








冷たく言い放つ蓉子の後には小さくため息を吐いて聖を見やる
その言動に聖と蓉子は身を乗り出して問いかける

けれどは累のような態度で聖に似非笑顔を向けた







「まぁ、今夜は我慢してよ。明日も明後日もあるんだから」

「……………」

「何の事?」

「……否、何でもないっていうか蓉子は知らなくていいよ…」







その言葉にピンときたのか、聖は紅茶をずずずっと啜りだす



そして苦笑しながら蓉子に手を翳す

が隣で自分の事をニヤニヤしながら眺めているのを見て、聖はその顔にも手を置いて顔を逸らした


その場を誤魔化すかのように元気良く立ち上がるとの身体を抱き上げて肩に乗せる











「ちょっ…恥ずかしいよ、子どもじゃないんだから」

「何言ってんの、まだまだ子どもでしょ!」

「いいから降ろしてよ!恥ずかしいからさ」

「駄目、私がこうしたいの」

「聖…勘弁して」

が勘弁しちゃいなさい」







聖の頭上で嫌がるを聖は笑いながら肩車しなおす



そして蓉子と顔を見合わせると、にっこりと微笑んで自分達の部屋へと戻る





















其の夜


先程眠ってしまったせいでなかなか眠りに付く事の出来ないは、
両脇に居る2人の横顔を何時までも見つめていた



自分に回された2人分の腕の重さが心地よい


久しぶりの心地よさに、涙が再び溢れてくる





自分でも泣き虫になったと認めてしまえるので、少しだけ笑ってみた―――――


































貴方が1番好きな 


最高の笑顔で

迎えられるように 


私も


毎日頑張って行きたい…

























next...