何で人生とは思い通りにいかないものだろう

そりゃ何もかも思い通りになったら世界のバランスが崩れちゃうのは判るけどさ




せめて恋人に求める事くらい…







ラクスは、

あの感じからして何を考えているのか判らない

恋人になってから一緒に暮らし始めてやっと判ったのは、
好きな物嫌いな物くらいだけ





判らない?


私はすぐに顔に出るからラクスは判ってると思うんだ



判るだろ?


ラクスを独占したいって気持ちを…



















髪も



唇も



潤んだ瞳も



桜色の肌も








全てが愛しい











「んっ……はぁ…カガ、リッ………」












その口から零れる、
既に言葉を成さないうわ言も




全て、が私を感じていてくれているのだからだと思うと






もっと、もっと狂わせたくてたまらなくなる









最も敏感な場所に指を這わすと

既に濡れた音が部屋の中に響いた






「やっ…あぁっ、そこっ…は………っ」




厭らしい音と共に色っぽい声も響く

それだけで私は登りつめそう




指先を僅かに差し込んで、
上半身を上げるとラクスの顔を覗き込んだ




「んっ…」

「ラクス、痛い?」




差し入れると同時に顔を歪ませる彼女に、

段々心配になってそう訪ねるとただふるふると首を横に振る


安心した私は身体を抱きかかえて、

更に深くする体勢を整えた



無意識に逃げる腰を掴んでゆっくりと根元まで入れると








ラクスはとてつもなく艶のあるため息をついた








「…ん……はぁ…」



「……大丈夫?」




「ええ…もう平気ですわ、カガリ」





「うん…動かすよ」







そう言うと同時に私はラクスの中にある指を動かし始める

嬌声を上げる彼女の唇に自分の唇を押し付けて、深い口付けを交わす





悦びを声に出して発散する事が出来ないから



私の首に抱きついて、



もう理性などとうに吹っ飛んでいるかのように夢中で舌を絡ませ返してきた






「んっ……んん…っ………んーっ!!」








軽く達したのか背中を仰け反らす






「…っはぁ……はぁ……」










「…すまない、無理させ過ぎた」




肩で息をする彼女の身体をそっと横たえて、
シーツを包ませる


何だか顔が合わせ辛い





肩に手が置かれる

何だろうと思って顔を上げると、
そこにはいつものラクスの優しい微笑みが待ち構えていた





「ラク……ス…?」



「大丈夫ですわ、わたくしなら」







本当は辛い時だって

悲しい時だって



いつでも大丈夫、と言うから





ラクスの言葉はたまに信用出来ない









恋人の言葉が信用出来ないというのは何となく淋しいかもしれないけど










言葉だけで愛しているとか好きとか言われても


本当かな、って思ってしまう恋人はたくさん居るはず













「ラクス、……愛してるよ」



「………」








驚愕する顔に逆に私が驚愕してしまった


何か変な事でも言ったのだろうか











「ふふっ…、いいえ、カガリが言うのも珍しかったので。いつもならわたくしから言ってるじゃないですか」







私の考えなどお見通し、とでもいうようにそう答える


う〜ん…確かにそうかもしれないな




ラクスからはたくさん言われているけど、


私からは恥ずかしくてあまり言えない











「そうか…、そんなに珍しいかな」




「いいえ、嬉しいですわ。わたくしも愛してます、カガリ」








そう言って軽く口付けしてくるラクスに、クラッとなりそうだった


優しく微笑むその仕草が






全てが愛しいんだよ

















窓には月明かりが1つだけ




星達は何処にも居ない




けれど私達を見守ってくれるのは月だけでいい







あの月という星が


あの月という道標があれば、






何処へだって歩いて行ける












君と一緒に












今この時間だけ、独り占めできればいい






私だけのラクスで居てくれればいい

















それだけでいいから……






















fin