生まれた時からプラントにいた私にとって、

地球のもたらす自然が大好きだった

 

愛しい恋人が守っているこの地球が私は大好きです

その地球で迎えられるこの朝が大好きです

 

 

morninng

 

 

 

ぼんやりとしている頭を叩き起こすかのように何とか上半身を起こすと、

ふと自分の身体に散らばっている紅い印に目がいった

 

行為の際、必ずやる彼女のその癖はもう拒むことも半ば諦めている

多少とはいえ露出のある服を着る時にとても困るのだが

ギリギリ際どい所に付けられたキスマークから、

普段は本能のままに後先考えず行動する彼女もちゃんと計算済みなのだと苦笑いをする

 

朝に弱い恋人は未だに起きない

 

ラクスは起こさないようにそっとベットを抜け出した

 

 

ラクスに気付いたハロも動き出してラクスの周りを転がりはじめる

最初はぴょんぴょん跳ね回って、挙句の果てにカガリに体当たりまでしてしまう始末だが、

最近やっと朝は静かにすることを覚えてくれたらしい

覚えたというよりも低血圧の彼女がとうとう堪忍袋の緒が切れてアスランの元に持って行ったからだろう

笑いを堪えながら一定の時間まで静かにするように設定してくれたおかげだ

 

 

ラクスは散らばった二人分の服を集めながらシャワールームに行くと手前にある籠にそれを入れてその中へ入っていく

 

いくら華奢とはいえ、歌姫と呼ばれる程の彼女の身体は筋肉付きが良い

それこそカガリのように腹が割れているとかそういうことはないが、

 

触れなくとも見ただけで締まりが良いのがわかる

 

 

その身体に数ヵ所咲き誇っている紅い印は、カガリが我の物とでもいうように付けたものだ

キラと全く正反対のカガリだが、

 

独占欲の強い所と、

 

 

優しい所はとても似ている

 

 

 

ラクスはそう思っていた

 

 

 

 

汗を流し、さっぱりしてシャワールームから出るとタオルを身体に巻いて寝室へ再び戻る

カガリは相変わらず気持ちよさそうに寝ている

ラクスはそっと、ベッドの側にある箪笥へ歩み寄ると服を着始めた

 

自分とカガリ用にきちんと分けて畳まれている服を見ながらラクスはふと思う

そういえば自分とカガリも正反対だと

多少は動きづらくてもヒラヒラとした明るい色のものを好む自分と対して、

カガリは動きやすさを優先して暗い色のズボンや服を好む

 

 

日常生活の基本はできる自分と、

やればできるのに自分からはやろうとしない彼女

 

 

仕事で中々家に帰れない時、僕が行って世話してあげないと家がとんでもないことになるとキラが漏らしていた

キラだけではなく、ミリアリアも、近くに住んでいるマリューもちょくちょく来て洗濯や掃除などをしているらしい

カガリは仕事が詰まっている時は外食するから食事方面に問題はないけれど、問題は朝食と夕食

マリューがわざわざ自宅へ食事に誘わないと、自分のことなどお構いなしに平気で1、2食抜く

そういう人だった

 

 

 

 

ラクスは全て身に纏うと、いざ恋人を起こさんと再びベッドへ向かった

大きなダブルベッドに腰掛ける

 

「カガリさん、起きてくださいな」

 

まず声だけで呼びかけてみるが、いつものごとく起きないカガリにラクスは苦笑をして、

彼女を覆っているシーツを頭が見えるまでに剥がす

シーツから現れた白い肩がとても健康的に見えた

趣味が身体作りなだけあって毎朝毎晩のトレーニングはかかさないカガリらしい肉付きの肩だった

 

「カガリ、仕事に遅れますわよ」

 

「ん……」

 

 

少し身動ぎをして顔を右腕で覆う

ラクスはそれでもめげずにカガリの肩に手をかけ、優しく揺する

やっと起きたというよりも半ば夢の中のカガリが可愛くて、

愛しくて、

ラクスはカガリの上に馬乗りになった

 

 

「うわっ」

 

 

少しは目が覚めただろうか、カガリが驚いてラクスを見た

目を擦りながら微笑む

 

「おはよう、ラクス」

 

「おはようございます」

 

 

カガリの両手に自分の指を絡ませ、遊ぶようにそれを振る

されるがままになっているカガリは幸せそうに微笑んでいる

ラクスのその顔もとても幸せそうだ

 

「今日は帰りはどのくらいになるんですか?」

 

 

「う〜ん、そんな遅くはならないと思うけど」

 

「そうですか、夜はゆっくりできるといいですね」

 

「うん」

 

 

カガリは上半身を起こしてラクスと向かい合う

その肩に抱きついて顔を埋めると、まだ眠いのか欠伸を一つした

 

 

「疲れていらしているのね、もう少しお休みになって欲しいところですけど…」

 

 

 

「そうもいかないよ、仕事だしね」

 

二回目の欠伸を噛み殺してーカガリはそう言った

まるで猫のように甘えてくる彼女に母性本能がくすぐられるかといったら嘘じゃない

 

その頭を撫でながら、ラクスはこう言った

 

 

「まるで金色の猫みたいですわ」

 

 

カガリは顔をあげ、不思議そうに顔を見上げる

 

「猫?」

 

 

「ええ、普段はぶっきらぼうで自分のことなどお構いなしなのに、甘えん坊なんですもの」

 

 

 

ふふふっと笑って腰に腕を回し、更に強く抱き締めてくる

 

 

「甘えるのはラクス限定だよ」

 

 

 

 

 

「あら、キラやマリューさん達にも甘えていらしているじゃないですか」

 

 

 

気持ちよさそうに胸に鼻を擦りつけながら、目だけはこちらを見たカガリに笑いかける

ラクスはその額にそっと口付けるといつものおしとやかな声で喋り方で続けた

 

 

「正直言ってヤキモチしてしまうんですよ?」

 

 

 

言葉が言い終わるか終わらないかのうちにカガリの唇が自分の唇に触れているのがわかったのは、

数秒後のことだった

名残おしそうに離れると、カガリは悪戯そうに笑ってこう言う

 

 

「ラクス以外にはこんなことしないぞ?」

 

 

「ふふっ、されてたら胸がはちきれてたまりませんわ」

 

 

 

朝が弱い彼女

ヤキモチやきな彼女

甘えん坊な彼女

 

その全てが見られるのは朝のひと時

 

 

 

 

 

Fin