素直じゃない私の妹と、






素直じゃない親友の妹はどうなったのだろうか




















そんな思いばかりが脳内を駆け巡るけれど






とにかく今は…
















独りになりたかったから






























昼休みにクラスメートに借りた雑誌を手に、



何処か独りになれる所を探し求め

辿り着いたのは古い温室だった





寂れた温室の扉は軋んだ音をたててゆっくりと開かれる










中に滑り込んで、そっと閉めると





先程まで聞こえていた放課後の賑やかさが幾分か聞こえなくなった












隅にある棚の


その上にある植木達を退かしてそこに座る


















「…………あの時の台詞はこういう事だったのね……ねぇ、累…」













何時に無く明らかに尋常じゃない態度で、

私に抱きついて来て



そっと囁かれた別れの言葉








あの時は









また明日も会って








その次の日も会って










毎日会って






















そしてそんな日々が続いていくのだと思っていた

















けれどその夢に描いていた日常は呆気なく崩れ去っていた






気付かないうちに


端からパラパラと、少しずつ崩れていっていたのね











もっと早く気付けていたら








貴方を止められたのかしら?

















寄りかかった背後の硝子の壁が

小さく軋んだ











硝子の天井から差し込む光が…とても眩しくて















空を仰ぐ事をやめて、

手にしていた雑誌を開く
























『あ!江利子さん、これ…もう見た?』



『え?』




『ほら、ここよ』














名前も浮かんで来ない級友に突然渡された雑誌には



私が今1番思い浮かべているあの人が居る

そこに、確かに存在している





何処にも行く事なく


消える事なく、









確かにそこに存在している貴方が居る





















累(17)


B型







”好きな物”


(もちろんバイク。

夏と冬はキツイけど、春と秋は最高だよ。

風を切って走っていると、自然と一体になれた感じがして気持ちいいんだ。)





”嫌いな物”


(苦い野菜。ピーマンとか言語道断だね。
たまにこのプロフィール見て、面白がってピーマンとか送ってきてくれるファンの人が居るんだけど…



手をつけてません。勘弁してください。)









”コメント”



(撮影したのは私の住んでいる街の、

私が1番気に言っている場所。




最近私の周りは慌しかったから、

今回はゆっくりした時間を送れて良かったです。





近況報告は……そうだ、好きな人が出来たんだ。




その人は違う学校に通う妹の、先輩なんだけどね。
最初は興味で近付いたんだけど段々その人と過ごす内にいつの間にか好きになってた。



いっつもつまらなさそうな顔しているくせに、

私と居る時だけは表情豊かになるんだって。



訳ありでその人の家に居候させて貰っているんだけど、その人のお母さんからそう聞いたんだ。




それって嬉しいよね。





私もその人と居る時は何だかとても安らげる。

これが恋なんだな、って気付くまで時間はかかったね。





でも…それだけ自然だったから。
その人と居る時間が。


当たり前のように過ぎていく時間では、

自分で気付かない、とっても勿体無いものがたくさん潜んでいるんじゃないかなって思った。







その人は妹にとっても大切な人だから、


妹を傷つけないように…想いを伝える事なんて出来るのかな、って。

最近の悩みどころなんだよね。









でも、大丈夫。



何とかなるさ、そう思わないと人生やってけないよ。










よし、この場を借りて言っちゃおう。




皆さん、協力宜しくね。あははっ。






ではでは…







江利子さ〜ん、貴方が好きだ!!愛している!!!!











……あ、名前言っちゃった。



ここカットで。



え?無理?




…じゃあモザイクでも。





無理?……けち。)










”担当インタビュアー者からのコメント”






(今回もナイスキャラを見せてくれた累さんでした。

仕事中にこんなに笑わせてくれるのは彼女ぐらいじゃないかと思われるくらい素敵な人です。


実際に身長も高くて、

実物は写真で見るよりもずっとずっと男前で格好良いのですよ!



ここだけの話、彼女の妹は何と双子だそうです。

こんな素敵な人が双子だなんて…
妹さんと一緒に現れたら絶対私は卒倒しますよ。(笑)





スカウトモデルとしてデビューしてまだ1ヶ月も経っていないのに、
巻頭特集トップに立てるのは並大抵な事じゃありません。

やはり彼女の外見と、中身の完璧なハーモニーのお陰ですね。




また編集部に彼女宛にファンレターが山のように届くと思いますが…


ちゃんと目を通してくれているので安心してくださいね。)










































「……何よ、そんな事1度も言ってなかったじゃない」











紙にただ映されているだけの彼女からの、

愛の告白







ずっと前から自分の事を好きでいてくれたのだと思うと














涙が零れてきた















優しく微笑んで居る貴方









もう私の側には居ない貴方



















幻影を求めて、


私は写真の貴方を抱きしめて声を押し殺して泣いた



































「……江利子、それ見たんだ?」









聞き慣れている親友の声に、


私は抱きかかえた膝に顔を埋める
こんな顔は見られたくない



いくら親友でも

否、親友だからこそ







隣に腰掛ける気配がした











「令から聞いたわ、累また行っちゃったのね」







またしても聞きなれたもう1人の親友の声


その親友も、私の隣に腰掛けた





2人に挟まれて








その居心地が何だか何とも言えないくすぐったさを感じて

















私は声を押し殺して泣くただの子どもに戻っていた





























「ね、江利子。累が最後に私達に何て言ったと思う?」










「あのね、貴方が泣いている時は直に飛んで行ってあげてって」
























2人の親友は、

ただ私の頭や背中を優しく撫でながら



独り言のようにそう言う







その言葉にまた胸が締め付けられて苦しくなる




また涙がとめどめなく溢れかえってくる

















痛い











苦しい




















貴方が居ない事がこんなにも辛いなんて…































貴方が居ない日常を、


普通の顔をして歩けるようになるまで




何年かかるのだろうか















それまでに貴方は帰ってきてくれるのだろうか
























果てしない、


終焉の見えない希望は







どうしようもなく寂しくさせるだけ




































































next...