注・これは原作に合わせて作ったものです。
  本サイトの設定は今しばらく頭から切り離してお読みください。
  
  そして、読み終えた後「?」マークが脳内を駆け巡る事でしょう。

  これは僕の微力では完成しえません。
  まず此れを読む前に、「ウァレンティーヌスの贈り物」を傍らにスタンバってください。
  マリみて原作は全て頭に入ってるから問題ナシ!!とう天才の貴方はもちろん準備しなくても大丈夫です。(笑)

そして読み終えたらすぐに原作の56ページに飛んでお読み始めくださいw


以上のご注意点を踏まえた上で、下へスクロール…。













































今日の主役はこの方



影ではスッポンより恐ろしいマスコミ新聞部部長と呼ばれていた

そう、其の人物築山三奈子


彼女は大きな壁の前に立ちはだかっていた





1年に数あるイベントのうちのひとつ


乙女達の待ち焦がれていた日

其れが聖バレンタイン


本当はバレンタインという人が暗殺されたという正に不吉な日なのだ

けれどチョコレート会社の陰謀なのか、
日本中の乙女達はチョコレートを大事な人に渡すというイベントに燃えている




無論彼女にとってはそんな事関係ない


何故なら新聞部にとって一番新聞の発行数が伸び上がる日だから

バレンタインデーイベントを考案していく間、其の壁は立ち塞がった






イベントの中心人物である薔薇の蕾3人が断れば、

全てがおじゃんになってしまう


つまり念入りに会議をしてきて決めたこの努力も全てが無になってしまうのだ





其れを阻止するため


そして何よりも自分が提案した企画の成功を収めるため












「敵は強大だわ」








そう呟いて築山三奈子はぐっと固唾を呑んだ


いろいろ試行錯誤はした
もちろん空想の

実際に体当たりでいろいろ試すのは何分相手が悪い


という事で頭の切れる妹の助言により彼女は此処に居る






『蕾達を操る事が出来る唯一の存在は薔薇様方です。そして薔薇様方さえもを操る事が出来るのはたったお1人じゃないですか』

















「失礼します、築山三奈子です」

「あら、三奈子さん。どうしたの?」

「紅薔薇様はいらっしゃいますでしょうか」






少し緊張して引き攣っている彼女を上級生は柔らかく迎え入れてから、

教室内に居る彼女に声を掛けた








「蓉子さん、新聞部の部長さんがお見えよ」





直ぐに彼女は教室の入り口までやって来た
そしてクラスメートに礼を述べると、私をニッコリと見据えて口を開く







「どうしたの?」


「実はご相談事がありまして…」


「あら、私に?」


「ええ、紅薔薇様でないと駄目なんです」


「じゃあ聞きましょうか」










吃驚した


最初は意地悪そうな笑みを浮かべていたのに、
相談事があると伝えた途端に真剣な顔つきになって向き直った


もしかしたら紅薔薇様は困っている人を見かけると放って置く事が出来ない人なのだろうか





三奈子は小さく息を吐いて自分に気合を入れると、
脇腹に抱えていた書類を差し出す

はて、と首を傾げながら其れを受け取る彼女は書類に目を通し始める






「えぇと、山百合会を中心としたイベントを開きたいという事?」

「ええ、そうです」

「そういう事は祥子達に言って貰えるかしら、私はもう現役は退職したようなものだから」

「いえ!紅薔薇様には是非ともご協力頂きたい仕事があるんです!」

「?」







意味が判らない、と肩を竦める彼女に三奈子は書類に書かれたイベント名を指し示す



そして紅薔薇様こと水野蓉子は納得というように頷いた















「なるほど、そういう事ね」










其処に書かれていたのは"宝探し、つぼみのチョコレートはどこだ!?"


















「でもね、三奈子さん」

「はい?」

「貴女が望んでいる事は判ったのだけど、私に一体どういうメリットがあるというの?」

「は…?」

「それに私はこう見えても妹達が可愛くて仕方ないの」

「はぁ」

「令はともかく、祥子と志摩子は見知らぬ人とデートをしろと言われて簡単に出来る事じゃないわ」





突然何素っ頓狂な事を言い出すのだろうと、三奈子は開きっぱなしだった口を閉じた



そして頷く






「…あぁ……」

「無理やりデートさせても本人達も其の相手も可哀想じゃない」

「えっと、ですね」

「うん?」

「い、一応此処にある企画は仮の段階なんです。此れを中心にいろいろと練り上げていきたいと思っています」








まるで試すかのような挑戦的な目線を送ってくる紅薔薇様に、
三奈子はどもりながら何とか言い切った

そして資料に目を落とし、

深呼吸をすると再び口を開く








「もちろん、山百合会の皆様方からご要望などあれば其れを加えて、良い企画に育てていこうと」

「へぇ、じゃあ私達の希望も受け入れてくれるって事?」

「あ…出来る範囲なら」

「OK、そういう事ならいいわ」

「え!?」

「祥子達の事は任せて、と言ってるの」








意外とあっさり了承を取れた事に三奈子はしばらく間抜けな顔つきになってしまった


紅薔薇様は再び資料に目を落とし、何か思案している模様だ

そして段々と思考が現在起こっている出来事に追いついてきたらしく、
驚きと共に大きな難問を乗り越えた気持ちが良い気分になってくる







「ほ、本当ですか?」

「あら、大丈夫よ。私を誰だと思って?」

「恐れ入ります…其れでは今日の放課後に薔薇の館へ伺いますので其の都度は宜しくお願いします」

「ええ」








改めて深々と頭を下げて、依頼を完了させた















其の後新聞部部室に帰ると、
まさか了承を取ってくるとは思っていなかったらしい部員達が歓声をあげた


其の中で三奈子は1人、

誇らしげに胸を張って妹にどうだと言わんばかりの視線を投げかける


すると驚いた事にはしゃいでいる部員達の中で真美は静かに口角を吊り上げて三奈子を見ていた



まるで、こうなる事は判ってましたよ、と







「さすがお姉さまです、いざという時はここ一番の力を発揮なさいますからね」

「…何だか拍子抜けだわ。貴女に一番驚いて貰えると思っていたもの」

「いいえ、私は最初から確信していました」








そう言って可笑しそうに笑う山口真美を築山三奈子は恨めしそうに見やった











此れから新聞部は大忙し


きっと新聞部が薔薇様方を味方につけているとは思いもよらぬだろう蕾達とその妹達











さぁ、楽しい楽しいバレンタインデーはもうすぐ!























fin